これに異論を唱える方は、ほとんどいないでしょう。
しかしアクセス解析は万能ツールではありません。基本的には「ページ間の遷移」を得意とするツール(※)なので、1ページ内の分析はやや弱いところがあります。
※ただしGoogleのGA4の基本的な考えは、これとはやや異なります。
ページ単位の分析という意味では、「ヒートマップ」ツールの方が優位です。
Webの分析においてヒートマップツールは、次のような強みを持ちます。
アクセス解析は「ページA→ページB→ページC」といったサイト内でのユーザー行動(ページ間の遷移)、ヒートマップツールは「ページA内での行動」「ページB内での行動」・・・といった具合に、1ページ単位の分析に強みを持つのは、冒頭でもお伝えしたとおりです。Webの閲覧がスマホ中心になったことで1ページが長くなり、実はページ単位の分析の必要性は非常に高まっていました。ただメジャーなGoogleアナリティクスが無料で使えるのに比べ、ヒートマップツールはこれと同等のものがなかったことにより、「入っていてあたり前」といった存在にはなっていませんでした。
状況が変わってきたのはここ数年のこと。理由は「Microsoft Clarity」(以下、Clarity)の登場と利用の広がりです。
Microsoftとはもちろん、Windowsやoffice製品を提供するマイクロソフトのこと。そこが提供するヒートマップツールなので、信頼感も高いものがあります。Googleが無料のアクセス解析ツールとしてGoogleアナリティクスを提供しているような位置づけに、無料のヒートマップツールとしてClarityが収まったようなイメージです。
もっとも無料のヒートマップツールは過去から存在しています。ただマイクロソフトという大ブランドが提供することで、無料ツールという懸念も払拭され、大きく広がっているというのはあるでしょう。筆者はさまざまなWebサイトにどんなツールが導入されているかを見るのが半ば習慣化しているのですが、大規模サイトにもClarityの導入は多くあります。
Clarityの強みについて、紹介しましょう。
何といっても、「無料」であることは強みです。Googleアナリティクスはアクセス解析として必ずしもベストなツールではありませんが、無料であることからWebの世界ではほぼ絶対的な地位を獲得しています。このままいけば、同じように「ヒートマップツール≒Clarity」という認識も強くなるかもしれません。
機能的な強みは、録画機能があることです。昨今のヒートマップツールは「スクロール」「クリック」「熟読」の三大要素の確認だけでなくさまざまな付加機能がありますが、録画機能を有しているツールも目立ちます。Clarityは無料にしてこの機能があることで、ページ内でのユーザー行動の把握が大いに役に立ちます。
ログインでのGoogleアカウント利用とともに、Googleアナリティクス(GA4)と連携できるのも嬉しいところです。無料に加えてこの点においても、メジャー化に大きく貢献しているのではないでしょうか。
またアプリの構築技術によるため()付きではありますが、スマホアプリへの導入も可能となっています。
Clarity公式サイト(日本語)
https://clarity.microsoft.com/lang/ja-jp
前述のとおり無料ヒートマップツール「Clarity」がメジャー化していることで、「アクセス解析ツール:GA4」「ヒートマップツール:Clarity」をセットでWebサイト(やスマホアプリ)に導入しておくのが、昨今のおすすめです。
データは取得しておけば、後々に分析をするなど役立っていきます。ですからClarityも「とりあえず導入しておく」は悪い選択ではありません。もっともClarityはセキュリティ面での注意が少しあります。またアクセス解析では、GA4も基本の埋め込み以外に最低限いくつかの設定をしておかないと、活用がかなり制限されてしまいます。
トライ&エラーを高スピードで回していくのがデジタルの強みと醍醐味ですが、ベースとなる計測設計と設定はなるべく早いうちにおこなっておきたいものです。
計測設計、設定などお気軽にお問い合わせください。